院長コラム

ブラッシングのしかたについて

前回は歯ブラシの選び方についてお話をさせていただきました。ご自身のお口と、ライフスタイルにマッチした歯ブラシはお選びいただけましたか?お気に入りの一本をお選び頂きましたら、いよいよブラッシングにとりかかりましょう。歯ブラシを一人一人のお口に合ったものを選んでいただくのと同じように、歯のブラッシングの仕方もまた人それぞれですが、今回はプラーク(歯垢)除去効果の高い方法に焦点をあてて、お話させていただきます。
当院では、お子様から大人の方まで幅広くお使いいただける基本の方法として、スクラビング法を推奨しております。

スクラビング法 scrubbing methodとは、「ごしごしこする」という意味で、通常は奥歯の咬む面のお掃除に最も適しています。方法が簡単で汚れを落とす効果が高いので、歯磨きデビューの小さなお子様には、ぜひ身につけていただきたい方法です。お手入れの方法は、歯ブラシの毛先を歯の面に対して90度に当てて、前後に数ミリの軽い微振動をさせながら清掃をしていただきます。うまく歯面に力がかかり、お手入れができていると、毛先がシャカシャカと音をたてるのにお気づきいただけると思います。この方法で注意していただきたいことは、歯の側面のお手入れの際に、力を加えすぎたり、大きな振動をさせない、ということです。振動を大きくしてしまうと、歯肉を傷つけたり、歯と歯ぐきの境目が削れてしまったり、知覚過敏を起こしてしまうことがあります。やさしい力で、小刻みに行っていただくのがポイントです。
基本のスクラビング法をマスターしていただきましたら、少し難易度の高いバス法にチャレンジしましょう。

バス法 Bass methodとは、Charles C.Bassによって考案されたもので、歯と歯ぐきの境目の清掃に敵した方法です。お手入れの方法は、毛先を歯と歯ぐきの境目に置き、歯の長軸に対して45度にブラシをかたむけて、前後に微振動を数秒間行う、というものです。この方法を正しく行っていただくと、歯ブラシの毛先が歯と歯ぐきの境目の溝および、歯と歯の間に自然に到達して汚れを落とす事ができるため、歯肉炎や歯周病などの歯肉の炎症を改善する効果が期待できます。バス法も、スクラビング法と同じく、やさしい力で、小刻みに行っていただくのがポイントです。また、バス法にお手入れ方法を切り替える際には、歯肉を傷つけず、かつより高い清掃効果を得るために、歯ブラシを毛が軟らかく毛束の多いものに変えていただく必要があります。
さらに当院では、歯ブラシによるブラッシングに加えて、補助的な清掃器具をお使いいただくことをおすすめしています。代表的なものはデンタルフロスと、歯間ブラシです。デンタルフロスの使い方は、単純に歯と歯の間に通して抜く、ではなく、痛くない程度に歯と歯ぐきの溝の間に糸を押し入れていただいて、歯の側面をこすり上げるようにしていただくのがポイントです。糸のお手入れの後は、歯ぐきの溝から出てきた汚れがお口の中に残ってしまいますので、しっかりうがいをするようにしてください。歯間ブラシは、必ず歯の隙間に合ったサイズのものをご用意ください。歯間ブラシのサイズ、使い方については、一度ご相談されることをおすすめします。