院長コラム

歯磨き粉について

今回は、歯磨き粉についてお話したいと思います。よく患者さんに「どの歯磨き粉を、使えばいいですか?」とか「私は、値段の高い歯磨き粉を使って歯槽膿漏が治った。」「歯磨き粉は使わず塩で磨いてます。」などみなさんいろいろな方法で歯磨きをなさっているようです。実際、歯垢などの汚れが物理的に除去されれば「歯磨き粉は必要ない」と言う考えもあります。しかし、これだけ多くの歯磨き粉が販売され広く利用されているのですから正しく使っていただきたいと思います。
多くの歯磨き粉のパッケージの裏には、医薬部外品と書いてあります。様々な薬効があるにせよその効果は穏和なものです。次に成分が書いてあり、あまり知られていないような薬が入っています。まず、成分の下に湿潤剤、清掃剤、発泡剤、香味剤、粘結剤、着色剤、保存料、薬用成分とあります。それらを簡単に説明します。

①湿潤剤 …ソルビット液、グリセリンなど 歯磨き粉に湿り気と可塑性をあたえる。
②清掃剤 …水酸化アルミニウム、含水ケイ酸、重質炭酸カルシウムなど歯に付着した歯垢などの汚れを落とす。
③発泡剤 …ラウリル硫酸ナトリウムなど口の中で歯磨き粉を拡散させ汚れを洗浄する。
④香味剤 …サッカリンナトリウム、ミント類など清涼感を出しまた香味を調整する。
⑤粘結剤 …キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど液体と固体成分を結合させ粘性をもたせる。
⑥着色剤 …黄酸化鉄など歯磨き粉に色をつける。
⑦保存料 …パラベン、塩化ベンザルコニウムなど 歯磨き粉の変質を防ぐ
⑧薬用成分 …硝酸カリウム、フッ化ナトリウムなど薬の機能により効能成果を発揮する。

次に薬用成分についてお話します。

●硝酸カリウム …歯根が露質して歯がしみたり痛いときにその刺激を和らげる効果があります。
●フッ化ナトリウム …フッ素の抗菌作用で虫歯予防を行う。
●フッ化第一スズ …フッ化ナトリウムよりも虫歯菌の増殖を抑える。
●塩酸クロルヘキシジン …歯周病菌の殺菌作用がある。
●酸化亜鉛 …露質した歯根が虫歯になるのを防ぐ。

以上が成分の簡単な説明です。歯磨き粉 になにを期待するか(知覚過敏の緩和、虫歯予防、歯周病予防)で選ぶポイントが違うと思います。しかし、歯磨き粉は医薬部外品でありその作用は薬剤の濃度なども低いため、その効果に大きな期待はしてはいけないとおもいます。ブラッシングするときの補助的なものと考え選んでください。